MMモジュールで扱うプロセスについて、SAPの実機を紹介しながら全7回で解説します。本シリーズを通して、MMモジュールを実際に学ぶ / 使うイメージしていきましょう。また、MMモジュールの全体概要についてはこちらの記事にまとめています。 SAP MM(購買・在庫管理)モジュールとは?ロジ系代表モジュールの役割と目的を徹底解説! 第1回となる今回は、MMモジュールで使用する組織構造編となります。MMモジュールプロセスで使用する組織の定義を解説していきます。 【SAP初学者向けアカデミー受講生募集】 「現役」SAPコンサルタントが提供する未経験からのSAPコンサルタント転職アカデミー 組織構造とは?MMモジュールにて作業を行う際に使用する組織名称を整理します。MMモジュールで在庫や購買活動を管理するためには、自社グループ内で使用する会社コードや、ロジ拠点のプラントコードなどが必要です。そのため、主に扱われる5つの組織について解説をします。 会社コード 会社コードとは、独立した会計組織を持つ組織単位です。つまり、財務諸表を作成する組織単位で設定を行い、4桁の英数字で設定されます。本社の会社コードを”1000”、子会社の会社コードを”2000”というように運用します。 ※会社コードの設定方法はこちら。SAP FI(財務会計)モジュール 組織定義 - 会社コードの設定方法を徹底解説! プラント プラントとは、会社コードに紐付けるロジ拠点の組織単位となります。生産工場、仕入工場、などロジ業務/品目管理の観点から設定される単位です。そのため、購買全体を管理するMMモジュールにおいて最も重要である組織です。コチラも4桁英数字で設定され、先頭英数字で機能を整理する場合があります(例:生産工場は”P”始まり、保管工場は”A”始まり、関東工場は”1”始まり etc..)。1つの会社コードに複数プラントを設定することで、ロジ業務を管理することとなります。ですが、1つのプラントに対しては1つの会社コードしか割り当てることができません。 保管場所 保管場所とは、プラント内における、在庫や品目の管理を行う範囲を定める組織です。つまり、在庫管理を行いたい最小区分で設定されます。こちらも4桁英数字で設定され、プラントに対して紐付けて設定します。例えば、A始まりには利用可能である在庫を保管し、B始まりには品質検査をおこなっている在庫を保管すると定義することができます。また、同じ保管場所コードでも紐づいているプラントが異なれば、異なる管理区分になります。例えば、「プラント”A101”」の利用可能在庫は「保管場所”A100”」で管理し、「プラント”A102”」の利用可能在庫は「保管場所”A100”」に管理する。という運用が行われます。 購買組織 購買組織とは、1つまたは、複数のプラントに対して品目やサービスを調達する役割を担い、取引に対して責任を負う組織となります。つまり、ロジ業務の組織単位で設定されます。コチラも4桁英数字で設定され、プラントに対して必ず紐づけて設定を行います。会社コードに対して紐づけることもできますが、基本的にはプラント紐付けでの運用が多いです。例えば、輸入品目の購買活動を行う組織に対しては「購買組織”AA01”」を設定するという運用をすることができます。購買組織単位なので、複数プラントへの購買活動を行なっている組織には、複数プラントが設定される事があります。ですが、1つのプラントには必ず1つ以上の購買組織を紐付けなければなりません。これによって、組織による購買活動とその在庫のプラントでの管理を紐づけて運用を行います。 購買グループ 購買グループとは、実際の購買活動を行うチームや部門の組織となります。コチラは3桁英数字で設定され、プラント等に紐づけて設定する必要はありません。実際に購買活動を担当した組織を管理するイメージとなります。購買グループは発注伝票登録時に、誰が(もしくはどのグループが)登録したかを判別するために入力します。そのため、発注伝票の検索キーとして使われます。例えば、大型製品の調達に対しては「購買グループ”100”」が担当し、原材料の調達に対しては「購買グループ”200”」が担当すると設定すれば、輸入品の原材料を調達する場合、「購買組織”AA01”」と「購買グループ”200”」の行動を関連させて管理します。 <設定例> <SAP購買発注画面例> まとめ MMモジュールで使用する組織は主に5つあり、購買業務の範囲や在庫管理の範囲を定義した上で設定されます。上記の紐づきと関連性を整理することで、以降で解説する購買依頼や購買発注などの流れの理解度が上がります。また、コンサルタントとして上記設定値を適切に理解することで、クライアントとの要件定義を効率的に行うことができ、クライアントへの負担も下げられます。関連マスタ(BPマスタ、品目マスタなど)と適宜紐付けながら学習していきましょう。 BPマスタの解説記事:ロールとは?テーブル構造・よくある疑問を徹底解説![SAP BPマスタ] 品目マスタの解説記事:概要・テーブル構造 - 登録例・主要項目・関連テーブル図まで解説![SAP 品目マスタ] 告知 【SAP認定コンサルタント資格のメリット】・認定資格を未取得の人との市場での差別化を図れる ・認定資格を取得することによる自信とスキルを持ってタスクを実行できる ・価値の高い認定資格を持てば、高い賃金を得ることができる 公式HP:https://sap-consultlabo.com/