SAP S/4 HANA Cloudでの調達におけるプロセスは、下の図のように、購買依頼、供給元の選定、購買発注、入庫処理、請求書照合からなります。今回はこれらのプロセスの中から”購買依頼”をピックアップして紹介します。 【SAP初学者向けアカデミー受講生募集】 「現役」SAPコンサルタントが提供する未経験からのSAPコンサルタント転職アカデミー 購買依頼とは？購買依頼の処理は、購買発注プロセスにおいて必須ではありません。しかし、購買依頼を経由することで、その内容を購買発注に引き継いで登録することが可能です。これにより、現場の従業員などが購買依頼を登録し、購買部門が内容を確認・承認したうえで発注に変換する運用が可能となります。このようなプロセスを採用することで、購買部門の作業負荷を軽減し、業務効率の向上が期待できます。対象会社の購買発注の量による業務負荷や、各従業員へ購買依頼の権限を与えることによるライセンス数などを考慮して購買依頼の要否やその登録方法を検討します。 購買依頼の登録SAPにおける購買依頼の登録は主に2通りの方法で行います。 詳細に分けるとさらに多くのパターンがありますが、今回は「①一般従業員が購買依頼を行う」ケースと「②MRPから購買依頼を行う」ケースをご紹介します。①一般従業員が購買依頼を行うケース 一般従業員や購買担当者が購買依頼を行う場合は、「アプリ：ユーザ購買依頼-新規」から登録を行います。本アプリからは他者が登録した購買依頼を確認することはできないため、権限の低いユーザに購買依頼をさせる際に有効なアプリとなります。 購買依頼明細画面にて、購買対象の品目や希望の納入日などを入力します。購買発注と異なり、サプライヤの情報は必ずしもなくても問題ありません。 ②MRPからの登録 受注や独立所要量などの需要情報をもとにMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)を実行して購買依頼を登録することも可能です。 MRPを実行すると、受注や購買発注を基に対象の品目そのものや、構成品目の需要と供給を参照し、必要となる品目の購買依頼や製造指示が行われます。 「アプリ：MRP実行スケジュール」からMRPを実行します。実行パラメータでは品目やプラントを指定することも可能です。 MRP実行後、アプリ：品目充足監視などで品目の状況を確認すると、購買依頼が自動的に作成されていることが確認できます。 その他、アプリ：購買依頼管理-プロフェッショナルから、購買依頼の登録や購買依頼の確認を行うことが可能です。こちらは主に購買チームの人や管理者が操作するアプリとなります。 購買依頼伝票の項目 購買依頼伝票では主に購買対象の品目や数量、プラントなどを保持します。仕入先や勘定などは購買依頼の時点では未定として登録することができます。 なお、購買依頼伝票はヘッダ情報と明細情報に分かれます。 ○伝票ヘッダ 購買依頼のテキストや伝票タイプ、テキスト項目を保持します。 ○伝票明細 伝票明細では様々な項目を保持することが可能です。以下では一部セクションの例を記載します。 “一般情報”では対象の品目やその価格、発注数量などを登録します。 “数量及び日付”では必要となる数量や希望の納入日付を登録します。 他、多くの情報を保持可能ですが、必須項目はほとんどありません。 まとめ今回はMMモジュール内の購買管理における購買依頼について、購買依頼の登録方法や保持項目を記載しました。 購買管理のプロセスにおいて、必ずしも必須の機能ではないため、購買発注量や購買業務担当者の業務負荷、ライセンス数、MRPの実行有無などから要否を判断します。 例えば、「購買依頼はSAPシステム外で実施として、メールベースで購買担当者に購買依頼を行い、購買担当者がSAPへ登録する」とするケースも多くあります。 MMモジュールを導入する上でクライアントへメリットデメリットを説明した上で利用可否の判断を行うことが必要です。 告知 【SAP認定コンサルタント資格のメリット】・認定資格を未取得の人との市場での差別化を図れる ・認定資格を取得することによる自信とスキルを持ってタスクを実行できる ・価値の高い認定資格を持てば、高い賃金を得ることができる 公式HP：https://sap-consultlabo.com/