2025年4月に発表されたSAP・Oracleの決算、さらに国内SIerの業績発表を通じて、クラウドERP市場がAI・データ基盤とともに進化を続けている実態が明らかになりました。主要グローバルベンダーはクラウド型ERPを軸とした収益成長を実現し、国内では導入支援を担うSIerが堅調な受注を維持しています。本記事では、SAP・Oracleの最新決算動向に加え、国内企業の成長戦略も交えながら、クラウドERPとそのエコシステムの“今”を多角的に整理。導入・刷新を検討中の企業やERP市場を俯瞰したい方に向けて、意思決定に役立つ情報をわかりやすくまとめました。SAP、2025年第1四半期決算を発表 | クラウド事業が引き続き好調、営業利益も大幅増加 SAP SE(本社:ドイツ)は、2025年3月31日を期末とする第1四半期の決算を発表しました。主な実績は以下の通り:クラウドバックログ:182億ユーロ(前年比+28%) ※クラウドバックログとは、将来受け取る契約済みクラウド収益の合計額。安定収益の指標となる数値です。クラウド収益:前年比+27%クラウドERPスイート収益:前年比+34% ※財務・購買・在庫管理など基幹業務を担うクラウドERP製品群の収益。総収益:前年同期比+12%IFRS営業利益:23億ユーロ(前年比+60%)CEOのクリスチャン・クライン氏は次のように述べています:「第1四半期は、AIを活用したポートフォリオが130カ国以上のサプライチェーンを支え、俊敏かつ効率的な対応を可能にしました。私たちの戦略が確実に成果を上げています。」また、CFOのドミニク・アサム氏は、「変動の激しい環境下でも、強いコスト管理と集中した実行で優れた利益成長を達成できました」とコメントしており、財務面の健全性とERPビジネスの成長性が際立つ決算となりました。📌 SAPコンサルタントの方へクラウドERP市場の拡大とともに、SAP S/4HANAやBTPに関するプロジェクト需要も高まっています。SAPに特化した高単価・長期案件を、非公開求人も含めてご紹介中です。市場動向のキャッチアップと併せて、次のステップを見据えた案件探しにもぜひご活用ください。👉 高単価案件を見る(登録無料)Oracle、Q3決算もクラウドが牽引|Fusion ERPとNetSuiteの好調続く 米Oracleが発表した2025年度第3四半期(2025年3月発表)の決算も、クラウド事業の急成長を示しています。総収益:141億ドル(前年比+6%)クラウド収益(IaaS+SaaS):62億ドル(前年比+23%)クラウドインフラ(IaaS):前年比+49%Fusion Cloud ERP:前年比+16%NetSuite Cloud ERP:前年比+16%特にAI関連需要がクラウドインフラの成長を後押しし、ERP製品の継続的な利用拡大も明らかになりました。また、業績好調を受け、Oracleは四半期配当を1株あたり0.40ドルから0.50ドルへ25%引き上げることも発表しています。クラウドERPを中核としたビジネスの成長性に、引き続き大きな注目が集まっています。システムインテグレータ、ERP・OBPM事業が堅調推移|2026年2月期は55億円見込みERP関連ソリューションを展開する株式会社システムインテグレータは、2025年2月期(連結初年度)の決算を発表。売上高47億6,800万円、営業利益2億7,100万円、最終利益5億8,300万円と、全体として堅調な業績を記録しました。特に、主力であるERP事業(売上高38億5,000万円)は新規顧客からの引き合いが継続しており、独SAP社のERP関連ソリューションでの初受注案件も獲得。加えて、連結子会社KEYSTONE SOLUTIONSによる日系製造業向けのERP導入支援も増加しており、同分野は引き続き安定成長を示しています。また、プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を展開するObject Browser事業(売上高7億9,000万円)も伸長。大手IT企業での追加導入や新規契約の獲得により、MRR(月次計上収益)が増加しています。データベース開発支援ツール「Object Browser」についても、継続的なバージョンアップにより、企業からの安定的な需要を維持しています。一方、AI事業(売上高9,200万円)では、生成AIを活用した外観検査以外の新規分野の開発に着手するも、現時点では収益化には至らず、セグメント損失を計上。収益性の改善が今後の課題とされています。なお、プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、2025年2月末をもってAtCoder社へ事業譲渡されています。2026年2月期予想システムインテグレータは、2026年2月期の通期連結業績として以下の見通しを発表しています:売上高:55億円(前年比+15.3%)営業利益:4億5,000万円(前年比+65.7%)最終利益:2億5,500万円(前年比−56.3%)※税効果会計の影響含むERPおよび関連事業の成長を背景に、引き続き堅調な業績推移が見込まれる一方、AI領域の収益モデル構築が中長期的な成長のカギとなりそうです。まとめ:クラウドERPの進化とともに、企業の意思決定も変革期へ2025年4月に発表されたSAP・Oracleの決算、そして国内SIerの業績からも明らかなように、クラウドERP市場は確実に拡大フェーズに突入しています。AIやデータ分析基盤との連携強化に加え、Fit to Standardを軸とした導入モデルの定着が、各社の収益成長を支えています。また、SaaS型ERPのアップデート性やスピード感に対応する形で、導入パートナーの支援力や業界特化型ソリューションの価値も一層重要になってきています。企業がERP導入・刷新を検討する上では、製品選定だけでなく、ベンダーの戦略やパートナー企業の実行力まで含めた立体的な判断が求められる時代です。今後の変化に対応するためにも、市場動向を押さえた情報収集が競争力の源泉となるでしょう。📌 主要ERP製品 徹底比較ガイド|無料ダウンロードERPの導入を検討中の方向けに、SAP・Oracleをはじめとする主要製品の機能・特徴・違いをまとめた資料をご用意しました。クラウド化やグローバル対応など、最新トレンドを踏まえた比較ポイントを網羅しています。情報収集・社内検討にぜひご活用ください。👉 資料をダウンロードする(無料)