👉 ERP、どれを選べばいい? 主要ERP製品の徹底比較資料を無料配布中!ERPの導入を検討中の方向けに、SAP・Oracleをはじめとする主要製品の機能・特徴・違いを現役コンサルの視点からまとめた資料をご用意しました!クラウド化やグローバル対応など、最新トレンドを踏まえた比較ポイントをカバーしています。情報収集・社内検討にぜひご活用ください。マイグレーションの必要性マイグレーションの必要性として様々な要因が挙げられますが、今回は以下の4つに絞って説明します。1. システムの老朽化SAP ECCのように、提供元のサポートが打ち切られることや、長期間の使用によってデータ量が増加し、システム運用に支障をきたす場合があります。この状態では十分な性能を発揮できず、最悪の場合はシステムダウンといった重大な業務障害につながる可能性があります。2. システムのサイロ化サイロ化とは、複数のシステムが混在し、業務間の連携がとりづらくなる状態を指します。原因として、組織の縦割りや各部門による個別導入が挙げられます。サイロ化が進むと、同一のデータの二重入力・データの活用不足の慢性化、外部への対応が一貫しない、といった問題が発生します。3. 企業規模とのギャップ拡大導入当初より事業が拡大・多角化した結果、既存のシステムではスムーズな業務進行が難しくなる場合があります。事業規模に適合していないERPを使用することは、競合に後れを取る要因となります。4. 業務の属人化・ブラックボックス化の進行システムの見直しが遅れると、多くの業務が個人に委ねられ、情報の所在や作業方法が不透明となります。また、業務の透明性が担保されないと、不正リスクが増大します。SAPにおけるマイグレーションとは?SAPにおけるマイグレーションとは、主に現行システムをS/4 HANAに切り替えることを指します。他社製品からの切り替えはもちろん、広く利用されてきたSAP ECCのサポート期間が2027年に終了することから、後継であるS/4 HANAへの移行需要が急増しています。マイグレーション先にS/4 HANAを起用する理由前述のとおり、業務に合致しないシステムを利用することは、企業の大きなリスクと言えるため、マイグレーションが重要視されています。では、なぜSAP S/4 HANAがマイグレーション先として選ばれるのでしょうか。こちらも4つの点に絞ってお伝えします。1. カバーできる業務、事業規模の広さSAPは会計管理から始まりましたが、現在に至るまで様々な機能が追加されたことで、製造、サプライチェーン領域を中心に幅広い業務をカバーできます。事業規模に関しても、拡張性の高いS/4 HANA Cloud Private Editionが大企業向けなのに対して、Public Editionは中堅企業の導入を視野に作られており、従来の「ERPは大企業向け」という考えは変わりつつあります。そのため、業務・事業規模の両面で対応範囲が広がっています。2. 高速処理SAPはリアルタイム性を重視しており、S/4 HANAではインメモリ技術とカラム型データベースを採用しています。インメモリ技術により、処理速度が従来ディスクの100倍ほどの速度になっており、加えてカラム型データベースにより、情報の集計に強くなっています。3. 海外展開における強みドイツで生まれたSAPは、日本のほかにも多くの地域固有の要件を網羅しています。言語はもちろん、リーガル要件にも標準機能で対応していることが大きな強みとなります。また、クラウド基盤であることで、各国でのインフラ整備の必要がないため、複数国への同時展開や、海外展開先の拡張が容易に行えます。そしてSAPで各国の子会社・関連会社を統一することで、正確なデータをリアルタイムで収集できます。4. 業務の標準化と全体最適SAPは標準化にも重点を置いています。SAPはFit to Standardを掲げており 、現行業務をSAP標準機能に置き換えることを提唱しています。SAPにおける標準とは世界中の顧客とのやり取りを通してSAPが築き上げたベストプラクティス(世界で実績がある効率的な業務のこと)のことであり、SAPに合わせた業務を行うことはそのまま業務の最適化につながります。標準化が行われず、多くの拡張が行われたり、それにより業務が属人化すると、非効率なだけでなくブラックボックス化や不正の温床となります。マイグレーション手法マイグレーション手法として、ここでは3つの方法を解説します。1. ビッグバンアプローチ(一括移行方式)定められた移行日に旧システムを停止し、新システムを稼働させる方式です。移行完了後に旧システムに戻ることはありません。メリット:導入成果が見えやすい/移行期間そのものが短い/新旧システムの連携が不要/並行稼働がないく移行期間も短いため、コストを抑えやすいデメリット:移行に失敗した場合の影響が甚大/旧システムへ戻すことが難しい/失敗が許されないため、入念な事前準備が必要主な対象企業:規模が大きく資金力のある企業/メガベンチャーなど変化への抵抗が比較的少ない企業2. フェーズドアプローチ(段階的移行方式)機能や拠点ごとなど、いくつかのフェーズに分割して順番に移行する方式です。メリット:一度に移行する範囲が限定されるため、エラー発生時の影響が限定的/ユーザーが段階的にシステムに触れるため心理的・業務的ハードルが低い/前フェーズの学びを後続フェーズに活かしやすいデメリット:移行期間が長期化する/新旧システムが共存するためインターフェースやデータ管理が煩雑になりやすい/業務量が増加しやすい主な対象企業:大企業/官公庁/試験的に一部モジュールを導入する中堅企業/大規模な人員投入が難しい企業3.パラレルアプローチ(並行稼働移行方式)一定期間、新旧システムを同時に稼働させ、結果を比較・検証したうえで新システムの安全性が確認できた時点で旧システムを停止する方式です。メリット:旧システムが稼働し続けるため安全性が高い/新旧の結果を直接比較できるため検証が容易デメリット:二つのシステムを維持・運用するコストがかさむ/同一データの二重入力により現場の業務負荷が大きい主な対象企業:金融機関やインフラなどコンプライアンスが非常に厳しい企業/資金が潤沢でリスク回避を最重視する企業(誤差やミスが許されない業務を担う企業) ビッグバンアプローチフェーズドアプローチパラレルアプローチコスト低中高リスク高中低移行期間短長中~長業務への影響大(移行時)小(限定的)中(二重入力の負荷)新旧システム連携不要必要不要ユーザーの心理負担大小大これらの移行方式はさらに細分化できます。例えば、フェーズドアプローチでは、入力データを自動的に割り振って段階的に置き換えるストラングラー方式や、全社展開の前に一部ユーザー・部門へ限定導入するパイロット移行方式があります。終わりに本記事では、SAP S/4HANAへのマイグレーション手法を比較・解説しました。一括・段階・並行稼働の各方式に、絶対的な正解はありません。日々社内の情報が変化する中で適切にERPを導入するためには、自社の規模、業種、リスク許容度、そして目指すビジネスの姿を明確にすることが重要です。本記事を参考に、貴社に最適な移行計画の策定を進めてください。📌主要ERP製品比較ガイドERP導入を検討中の方向けに、SAPやOracleをはじめとした主要クラウドERPの特徴・違い・選び方を1冊にまとめた資料を配布中!