企業のデジタル変革が加速する中、ERPシステムにおいてもAI・クラウド技術を統合した次世代型プラットフォームへの進化が著しく進んでいます。従来型ERPの限界を克服し、より柔軟で効率的な業務基盤を構築するための革新的なソリューションが次々と発表されています。本記事では、2025年に発表された東洋大学のOracle Cloud ERP導入、JR東日本のSAP S/4HANA Cloud採用、そしてSAPによるSmartRecruiters買収という3つの大きな動向について詳しくご紹介します。👉 ERP、どれを選べばいい? 主要ERP製品の徹底比較資料を無料配布中!ERPの導入を検討中の方向けに、SAP・Oracleをはじめとする主要製品の機能・特徴・違いを現役コンサルの視点からまとめた資料をご用意しました!クラウド化やグローバル対応など、最新トレンドを踏まえた比較ポイントをカバーしています。情報収集・社内検討にぜひご活用ください!東洋大学がOracle Cloud ERPで財務業務を刷新東洋大学は、従来のスクラッチ開発による財務会計システムから「Oracle Fusion Cloud ERP」への全面刷新を発表しました。この決定は、高等教育機関におけるERPシステム近代化の典型例として注目されます。※財務会計システムについてもっと知りたい方はこちら!ERPパッケージソリューションとは?SAP・Oracle・Microsoftの主要製品を徹底比較!創立150周年ビジョンを支える戦略的システム刷新同大学の取り組みは、2037年の創立150周年を見据えた総合学園ビジョンの一環として位置づけられています。データに基づく経営判断や財務運営を可能にする財務会計システムが、全学的なビジョン浸透に必要だったことが、今回のシステム刷新の背景にあります。対象業務は、財務会計、購買・経費、固定資産管理といった組織運営の中核領域です。従来のオンプレミス環境からクラウドベースのERPへの移行により、運用・保守負担の大幅な軽減が期待されます。「Fit to Standard」でカスタマイズコストを最小化特筆すべきは、「Fit to Standard」アプローチ(業務をパッケージソフトの標準機能に合わせる手法)の採用です。これにより、カスタマイズコストを最小限に抑えることが可能となります。寺田信幸常務理事は「AIや生成AIなどの最新テクノロジーを備えたOracle Cloud ERPにより、業務の標準化・自動化を促進します」と述べており、単なるシステム更改ではなく、働き方改革を見据えた戦略的な取り組みであることがうかがえます。導入支援を担うADX Consultingの協力のもと、2026年度中の本稼働を予定しています。国内外の大学における豊富な導入実績に加え、大学特有の周辺システムともAPIを通じて疎結合で連携が可能であり、将来的な拡張にも柔軟に対応できる点が、Oracle Cloud ERP選定の決め手となりました。※Fit to Standardについてもっと知りたい方はこちら!「Fit&Gap」と「Fit to Standard」とは?特徴・要件定義・メリット比較を徹底解説![SAP導入方法論]JR東日本が「RISE with SAP」で次世代経営基盤を構築経営環境変化に対応するクラウドERP統合戦略JR東日本は、次期経理・資材システムとしてSAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を中核とする「RISE with SAP」の採用を決定しました。「RISE with SAP」とは、SAPが提供するクラウド化支援サービスで、システムの移行から運用までを包括的にサポートするソリューションです。同社はこれまでもSAPを活用してきた経緯がありますが、経営環境の変化やシステム運用に携わる人員確保の難化など、現代企業共通の課題に直面していました。今回の決定は、これらの課題解決に向けた戦略的な判断といえます。Analytics CloudとDataspherで経営分析基盤も同時構築注目すべきは単純なシステム更改にとどまらず、経営分析基盤として「SAP Analytics Cloud」と「SAP Datasphere」も同時導入することです。これにより、経営データの統合・分析が進み、経営指標の可視化や迅速な意思決定が可能となります。さらに、アビームコンサルティングが導入パートナーとして支援することで、業務の標準化やプロセスの効率化・高度化を進め、持続的な成長を支える経営基盤の構築を目指しています。SAPがSmartRecruiters買収で人事機能を強化M&Aによる統合プラットフォーム化を加速SAPは、人材獲得分野の先進的ソフトウェアプロバイダーであるSmartRecruitersの買収契約を締結しました。この動きは、ERPベンダーが人事管理領域でのポートフォリオ強化を図る戦略の一環として位置づけられます。SmartRecruitersは、大量採用や高度な採用自動化、AIを活用した候補者体験とエンゲージメントに強みを持つ企業です。同社の技術とノウハウがSAPの人事管理スイート「SAP SuccessFactors」に統合されることで、企業の人材獲得力が飛躍的に向上することが期待されます。AIを活用した採用プロセス革新でSuccessFactorsを強化この買収により実現する具体的なメリットには、意思決定の迅速化、採用期間の短縮、候補者体験の向上などがあります。さらに、分析機能とAIレコメンデーションを活用した人材プールの分析や採用プロセスの改善、戦略的人員計画の高度化も可能となります。SAPのムハンマド・アラム氏は、本買収により「優秀な人材の迅速かつ柔軟な獲得を支援し、採用戦略を加速させながら総所有コストの削減にも寄与する」と述べています。SmartRecruitersのレベッカ・カーCEOも、「採用をもっと簡単に」という使命をSAPとの連携により世界に広げられると語っており、取引は規制当局の承認を前提に2025年第4四半期の完了を予定しています。まとめ今回ご紹介した3つのニュースからは、企業のシステム戦略に関する重要な示唆を読み取ることができます。東洋大学とJR東日本の事例からは、ERPシステムの選定・導入における新たな常識が見えてきます。両組織とも従来のオンプレミス環境からクラウドベースのソリューションへの移行を選択しており、運用・保守負荷の軽減が最優先の選定基準となっています。特に注目すべきは「Fit to Standard」アプローチの浸透です。従来の「システムを業務に合わせる」という「Fit&Gap」の発想から、「業務をシステムに合わせる」という発想転換により、カスタマイズを最小化してコスト削減とスピード重視の導入を実現しています。また、両組織ともAI技術を活用した業務の標準化・自動化を重視しており、単なるシステム更改ではなく働き方改革の一環としてERPを位置づけている点も共通しています。一方、SAPによるSmartRecruiters買収からは、ERPベンダー側の戦略変化が明確に読み取れます。従来の財務・会計中心のERPから、人事・採用まで含む包括的なプラットフォームへの進化が加速しており、M&Aによる機能拡張が重要な戦略となっています。特に人事領域でのAI活用は、採用プロセスの効率化だけでなく、企業の競争優位の源泉として位置づけられており、人材獲得戦略とERPの統合による経営基盤強化が今後の重要なテーマとなることが予想されます。これらの動向を踏まえると、企業のシステム担当者は、クラウド化とAI活用を前提とした統合プラットフォームの選定・導入戦略を検討していく必要があるでしょう。 📌主要ERP製品 徹底比較ガイド|無料ダウンロード ERP導入を検討中の方向けに、SAPやOracleをはじめとした主要クラウドERPの特徴・違い・選び方を1冊にまとめました。 最新トレンドを踏まえ、機能比較/導入の注意点/SaaS型ERPの選定基準まで網羅しています。 初期検討の情報収集や、社内検討資料の下地としてもご活用ください。 👉 資料をダウンロードする(無料) ■株式会社 Anfiniって?ベストベンチャー100に創業3期目で選出!データドリブン経営戦略の策定からERP導入まで一貫してサポート👉 Anfiniのコンサルティングサービスの詳細はこちら