SAPのモジュールは、大きく会計系、ロジ系、人事系の3つに分けることができます。本記事では、会計系に分類されるモジュールの1つであり、プロジェクトマネジメントに関わる機能を提供するPS(Project System)モジュールの概要、役割、目的について解説します。まずはPSモジュールの全体像を掴めるようにしましょう*会計モジュール概要はこちらからSAP代表モジュール(会計編①)SAP代表モジュール(会計編②)*その他主要会計モジュール概要はこちらからFI財務会計とはCO管理会計とは【SAPコンサルタント募集】 年収800万~2500万 平均残業時間 4.1h/月カジュアル面談の応募を是非お待ちしています!PSモジュールの概要PSモジュールは、企業のプロジェクト管理に特化したモジュールです。プロジェクトを計画・実行・監視・統制までプロジェクト管理を包括的に効率化します。プロジェクトとは企業や組織が特定の目的や目標を、ある期限までに達成するために計画・実行される作業の集合です。 PSモジュールがサポートするプロジェクトのタスクは、具体的に計画、予算、リソース管理、進捗追跡、およびレポート作成などがあります。また PSモジュールは、他のSAPモジュールとも密接に連携しています。FIやMM、SDのような他モジュールでの業務プロセスで発生したデータがリアルタイムで連携されることで、最新のプロジェクト状況を把握することが可能です。PSモジュールの構造構成要素PSモジュールではプロジェクトの遂行に関する情報を一元管理するために、プロジェクトごとに構造を定義しています。ここではプロジェクト定義、WBS要素、作業パッケージ/活動、ネットワークの4つの要素について解説します。① プロジェクト定義プロジェクト構造の最上位階層であり、プロジェクト全体の基本情報(プロジェクト名、説明、開始日、終了日、責任部門、予算など)を管理します。この時点でプロジェクトの基本的な構造が確立されますが、具体的な作業パッケージや活動は未定義です。Td-cd:CJ01 からプロジェクト定義が登録可能です。② WBS(Work Breakdown Structure)定義プロジェクト定義に紐づいて、プロジェクトの要素である作業パッケージや活動を階層化しています。複数階層を構成することが可能です。プロジェクト内の作業や活動はここで明確に定義されます。各種管理に必要な情報が紐づいた作業パッケージや活動を階層化することで、リソースの割り当てや、スケジューリング、コスト管理などのプロセスが可能となります。Td-cd:CJ11からWBS要素が登録可能です。③ 作業パッケージ/活動プロジェクトのスケジュール、リソース割当、コスト計画などの具体的な計画や実行を実施する基本単位です。プロジェクトの要素として散在していますが、WBS要素によって階層化されます。④ ネットワークプロジェクト構造内の作業パッケージや活動に紐づきます。ネットワークはプロジェクト内の作業パッケージや活動の依存関係を表現します。活動同士の開始や完了の関連性や順序が定義されています。プロジェクトの計画・実行・監視・制御において密接にこれらの要素が関連することで、統合的なプロジェクト管理を実現するための基盤を提供します。補足:ツールの紹介「プロジェクトビルダー」プロジェクトの構造を作成および管理するための強力なツールです。Td-cd:CJ20N を使用することでプロジェクト定義、WBS要素、ネットワークの登録・変更・照会、ステータスの変更、計画・スケジュールの割当てのすべてを実施することができます。PSモジュールの機能概要SAPのPSモジュールの主な機能には以下が含まれます① プロジェクト計画プロジェクトのスケジュール、リソース、コストなどの計画を立てる機能があります。WBSを作成し、プロジェクトの階層構造を定義します。新しいプロジェクトの登録にはプロジェクトの基本情報(名称、説明、開始日/終了日など)の入力が必須です。プロジェクトは、マスタデータとしてテーブルに登録します。② リソース割り当てと管理プロジェクトに必要なリソース(人員、機器、資材など)を割り当て、管理します。これはWBS要素によるプロジェクト構造の階層化で可能になります。リソースの利用状況や予算への影響をトラッキングします。③ コスト管理プロジェクトの予算設定、コスト見積もり、実績の記録、コストの追跡と分析を行います。原価計算や収益認識などの機能を提供します。④ プロジェクト実行プロジェクトの進行状況を追跡し、実績データの入力と更新をリアルタイムで行います。進捗監視やリスク管理(問題の特定から必要な調整まで)などの機能が含まれます。⑤ プロジェクトレポーティングプロジェクトの進行状況やパフォーマンスに関する情報を提供するためのレポーティング機能があります。標準レポートやカスタムレポート、ダッシュボードなどを活用して情報を表示します。⑥ プロジェクトの統合管理他のSAPモジュールや外部システムとの統合を可能にします。たとえば、人事管理、購買、生産計画などの他のSAPモジュールとのデータ共有や連携が可能です。具体的には、購買において外部ベンダーやサプライヤーからの資源の調達やサービスの外注を管理する機能を提供します。外注管理機能では、契約の作成、外部資源の割り当て、支払いの処理まで一連の処理を実施します。これらの機能を組み合わせて、プロジェクトの計画から実行、終了までを総合的に管理し、効率的なプロジェクト遂行を支援します。PSモジュール導入の目的PSモジュールを導入する主な目的は、組織がプロジェクト管理を効率化し、プロジェクトの成功を確保することです。具体的には以下が挙げられます。① プロジェクト管理の統合化PSモジュールは、プロジェクト管理プロセスを統合して行うことを可能にします。プロジェクト全体の進捗やリスクのリアルタイムでの可視化が進み、リスクを最小限に抑えられることが期待できます。② プロジェクト遅延の防止PSモジュールはリアルタイムでのプロジェクトの進行状況を追跡、スケジュール管理機能を提供します。これにより、タスクの遅延や進行状況の不足が早期に検出され、遅延を防止することができます。③ コスト管理の最適化PSモジュールは、プロジェクトの予算設定、コスト見積り、実績の記録、コストの追跡と分析と、コスト管理プロセスを一貫して支援します。適切な予算設計・リアルタイムでの情報提供により、予算超過や無駄な支出を回避して予算内でのプロジェクトの完了を支援します。④ リソースの最適化PSモジュールは、リソース(人員、機器、資材)の適切な配置と使用を支援します。リソースの適切な割り当てにより、プロジェクト生産性が向上し、効率的なプロジェクトが実現されます。⑤ 組織の意思決定のサポートPSモジュールはリアルタイムなデータの蓄積とレポーティング機能を備えています。これにより、組織の迅速かつ正確な意思決定が可能になります。SAPのPSモジュールは、プロジェクトを行う企業にとって不可欠なツールであり、効率的なプロジェクト管理と成功への鍵となります。告知【SAPコンサルタント募集】 年収800万~2500万 平均残業時間 4.1h/月カジュアル面談の応募を是非お待ちしています!株式会社Anfiniでは現在SAPコンサルタントを募集しています。経験を問わず、会社の概要や入社後のキャリアイメージなど、ご興味がある方は是非カジュアル面談にご応募ください!(選考に一切関係なし)■株式会社 Anfiniって?ベストベンチャー100に創業3期目で選出!従業員ファースト「業務時間8⇒6を目指す」独立系ブティックファーム「経営管理クラウドXO」を融合した経営コンサルティングを提供詳細は以下の記事をご覧ください。カジュアル面談可【急募】SAPコンサルタント/リモート可/副業自由/平均残業4.1